紫雲寺潟と福島潟とお福の物語

 紫雲寺町(現新発田市)に紫雲寺潟という大きな潟が あった。潟のそばに紫雲寺という寺があったことから潟 の名となった。

美しい小僧が住んでおり、夕方になると 小僧のつく鐘の音に村の娘たちはうっとりした。村に真野長者という長者がおり、お福という一人娘がいた。お福も小僧に思いを寄せていた。ある日、お福が鐘つき堂 にひそんで小僧に思いを告げたが、小僧は「私は仏に仕 える身」と逃げ出したので、お福は半狂乱になって後を 追い、潟の畔で立ちすくんでいる小僧を小脇に抱えて潟 の中へ飛び込んだ。

 

 その夜から降り出した雨は七日七晩 降り続き、七日目の晩に近くを通りかかった人が、潟の中で小僧をくわえた大蛇を見た。お福は大蛇になったと 噂された。

 

 その後、紫雲寺潟は干拓されて狭くなったた め、住めなくなったお福は隣の潟に移った。そのためお 福の名を一字とって「福島潟」と名づけられたという。

 

(新 潟県伝説の旅) ※紫雲寺潟干拓は享保年間(1716-36) である。